出会い 三
そんな中戦火は次第に激しさを増していった。女も例外なく国のための労働に駆り出される。シイエ達も兵器工場での労働を強いられた。
シイエは人殺しの道具を作るという仕事に違和感を覚えながら、しぶしぶ工場へ向かった。
シイエが辿り着いた工場にあの男性がいた。シイエは自らの気持ちを押し殺し、くる日もくる日も工場への仕事に励み…そして休憩時間には仲間とふざけあった。
しかしながら同じ空間を共有する時間は今までにないほど長く、シイエの想いはもう抑えることができないところまでふくれあがっていた。
その頃の二人の関係といえばまだ顔見知りという程度、しかしシイエはついに本領を発揮する。「もう我慢できない…」
シイエは忙しい毎日の中で時間を見つけとうとう彼の家を探し出してしまった。
閉ざされた引き戸を叩くシイエ。
「どなたですか?」
妹らしき女性が答える。
「お兄さんの知り合いの者です、あなた方のことが気になり何かお手伝いできないかと…来てしまいました」
彼女は驚いて、慌てて扉を開けた。
「結構です自分達でできますから…お気持ちはありがたいですが困ります、おかえりください」
門前払いを受けたシイエだが持ち前の負けん気で通い続けた。彼女も体の具合が思わしくないのもあったが何よりシイエの熱意と人柄に負け、次第にシイエを信頼していった。