再会 三
周りはどこを見ても目をそむけたくなる風景ばかりだ。時折アメリカ兵がうろついているのが見える。初五郎はその度身を隠して自宅を目指した。
初五郎はあらゆる人に話を聞いた。まともに話せる相手にすらなかなか巡り合えない。ようやく人の集まる場所を見つけ話を聞く事ができた。
「あの子らはもっと痛い思いをしている」
自宅付近に近付くにつれ足元はさらに熱くなり靴が焼けていく、初五郎はボロボロになりながらも歩を進める。
そしてついに自宅があったであろう場所へと辿り着いた。
家もなにもそこにはなく、当然ながら家族の姿はない。逆に言えば…遺体はその場所にはなかったのだ。
家もなにもそこにはなく、当然ながら家族の姿はない。逆に言えば…遺体はその場所にはなかったのだ。
焼けて熱くなった土地を掘り返してもみた。わずかばかりの家財道具の焼け残りがでてくるだけだった。
初五郎はあらゆる人に話を聞いた。まともに話せる相手にすらなかなか巡り合えない。ようやく人の集まる場所を見つけ話を聞く事ができた。
「若い女と子供が二人…赤ん坊もいるはずです!誰か見ませんでしたか!」
「多分あの人でしょう…子供の怪我が重くて、歩いて立山の病院へ向かうと言っておりましたが…」
立山…まだ歩かなければならないのか…しかし初五郎は諦めるわけにはいかなかった。
靴底は焼けてしまい熱い。とにかく足が痛かった。「あの子らはもっと痛い思いをしている」
そう思いとにかく歩いた。そこからさらに二日かけて病院に辿り着く初五郎。
あたりは処理を待つ遺体が異臭を放ち、人々の呻き声と泣き声が響き渡る。目も当てられないくらいの怪我をし、体中を蛆に喰われるがままの人々がたくさんいる。これでも病院かと言わんばかりの光景だ。
初五郎はひとりひとりの顔を覗きこみシイエを探した。