再会 四
初五郎は一人の女を見つけた。シイエに似ているような気がして立ち止まったのだ。
初五郎はシイエを揺さぶった。シイエは初五郎の顔をぼんやり見ているだけだ。
違う…女の顔は苦痛に満ちており、ひどくやせ細り視線は定まらずにいた。常に燐とした美しさをたたえていたシイエとは別人に思えた。
また辺りを探してみるも、どうしても先ほどの女が気になりもう一度戻った。
シイエだ。シイエに間違いなかった。待ちに待った再会の時だった。シイエの髪はやけこげ、服もボロボロで何やらぽかんとして視線が定まらない。
「シイエ!シイエ!」
初五郎はシイエを揺さぶった。シイエは初五郎の顔をぼんやり見ているだけだ。
「シイエ!」
初五郎は力の限りシイエを抱き締めた。シイエは相変わらず視線が定まらずされるがままになっている。
「シイエ!おいがわかっか?やっと帰ってきたとぞ!わかっか!」
初五郎は何度もシイエを揺さぶり頬を叩いた。シイエは目をパチパチしたかと思うと、初五郎にしがみつき堰を切ったように泣き始めた。
シイエは初五郎にしがみつき抑えていた感情を爆発させた。正気に戻ると様々な想いに押しつぶされんばかりになってしまう。「あんた…あんた、はっちゃんが…はっちゃんがぁ…早う…」
「シイエ!しっかりせろ!初義はどこやっ」
シイエは初五郎の手をつかみ、初義の元へ走り出した。
病院の奥へ奥へ…むせ返るような臭い、通路にも横たわるたくさんの怪我人、その間を縫うように走る。
病院の奥へ奥へ…むせ返るような臭い、通路にも横たわるたくさんの怪我人、その間を縫うように走る。
奥へ辿り着くと三人の息子達が待っている。
「おとうちゃん!」
政雄は嬉しさのあまり初五郎に飛び付いた。初五郎は政雄を抱き初義の元へ、そこには手足を曲げたまま寝かされた初義がいた。