悲しみの再出発 三
道すがらシイエは源さんの話を聞かされた。
「親方の指示で来たんですが、花幸の方が気になっていたもんで…急で申し訳ない、後で初五郎にも来てもらいます。」
これからは鉄骨が主流の大きな建築物が増えるだろうと見越した源さんは、初五郎の職人としての腕が絶対に必要だと考えていた。
「 元気なんですよね?」
「ええ…山ひとつ挟んでたので、店は焼けてません。なんと言っていいいいのか、あとは幸枝さんに…」
言葉を詰まらせるシゲに、シイエはそれ以上何も聞けなくなってしまった。とにかく今は…この目で確かめなければ。
「親方の指示で来たんですが、花幸の方が気になっていたもんで…急で申し訳ない、後で初五郎にも来てもらいます。」
これからは鉄骨が主流の大きな建築物が増えるだろうと見越した源さんは、初五郎の職人としての腕が絶対に必要だと考えていた。
若い職人と仕事のめどはつきそうだが、職人をまとめる人間は初五郎以外にいないとシゲに初五郎の捜索を頼んだのだ。
「うちも人手が…半分はあれにやられてしもうて…」
「そうですか…」
「生き残りの寄せ集めですからね…引っ張る人間がいないと仕事にならずに…」
自暴自棄になり荒れる若者、生きる気力を無くした者、死の恐怖に怯える者…そこをまとめるため、どうしても初五郎を欲しがっているという。
元々早くに家族を亡くして怖い物知らずの初五郎は、職人としての腕もさることながら、その筋の人間にも一目置かれる存在だった。
「うちも人手が…半分はあれにやられてしもうて…」
「そうですか…」
「生き残りの寄せ集めですからね…引っ張る人間がいないと仕事にならずに…」
自暴自棄になり荒れる若者、生きる気力を無くした者、死の恐怖に怯える者…そこをまとめるため、どうしても初五郎を欲しがっているという。
元々早くに家族を亡くして怖い物知らずの初五郎は、職人としての腕もさることながら、その筋の人間にも一目置かれる存在だった。
シイエと子供らの前では優しい夫であり父であったため、シイエもそんな初五郎の一面は知らない。
シゲの話を聞いてみても、なぜ源さんがここまで初五郎にこだわるのかはわからなかった。それより仕事がある事で少しだけ先が見えた事を喜んだ。
「花幸も同じように大変なようです…なんというか、シイエさんを必要としています、親方が初五郎を必要とするように…」「 元気なんですよね?」
「ええ…山ひとつ挟んでたので、店は焼けてません。なんと言っていいいいのか、あとは幸枝さんに…」
言葉を詰まらせるシゲに、シイエはそれ以上何も聞けなくなってしまった。とにかく今は…この目で確かめなければ。