復興 三
その夜は親しい者を集めて久しぶりに花幸に笑い声が響いた。源さんやシゲさんの姿もある。おかよもヨッコの祝いと聞き、嫁ぎ先から駆け付けた。
その男はボロボロの服に裸足という姿で、何やら落ち着かない様子でシイエを見ている。シイエは負けずに声を出した。
「あんた誰ね!人ば呼ぶよ!」
ぼっちゃまは朝から働きづめだったからか、黙々と料理を口へ運んでいる。みんな飲んで食べて…たくさん笑った。
シイエはおキヨさんと一緒に台所と宴席の間を慌ただしく行き来していた。シイエが台所から宴席に戻った時だった。
ガタン!
台所から大きな物音がした。
物音に一瞬皆の話が止まる。
物音に一瞬皆の話が止まる。
「いかん!開けっ放しで猫でも入ってしもうたかもしれん…みてくるね」
シイエはそう言うと台所に戻った。シイエは外に人影を見て息を飲んだ。しかし持ち前の勝ち気さが顔をだす。
「誰ね!誰かそこにおるとね!」
シイエは物ごいだと思ったが、シイエの声に反応したその人影は物陰からシイエの前に姿を現してシイエの顔をじっと見据えた。
その男はボロボロの服に裸足という姿で、何やら落ち着かない様子でシイエを見ている。シイエは負けずに声を出した。
「あんた誰ね!人ば呼ぶよ!」
シイエの声に焦りながら男は声を上げた。
「シイエちゃん…シイエちゃんか?待ってくれ…俺たい…番頭たい…こげん格好やけんか、びっくりさせてごめん」
「番頭さん…?」
シイエは男の顔を覗き込み穴があくくらいじっとみつめた。
顔は汚れて分かりにくかったが、確かにそこに居たのは番頭だった。番頭はすっかり痩せて別人のような姿だった。
顔は汚れて分かりにくかったが、確かにそこに居たのは番頭だった。番頭はすっかり痩せて別人のような姿だった。
シイエはもう一度男の顔を確かめた。
「番頭さんだ!よかった…生きとったとね!怪我しとらんと?今までどこにおったと!ちょっとヨッコちゃん連れてくるけんね」
シイエは興奮気味に一人でべらべら喋った後、宴席の方へ飛んで行った。