2014-10-15 奉公と長崎の町 一 奉公と長崎の町 シイエ達が長崎の港に着いた頃にもう日が暮れていた。 初めて見る長崎の街はキラキラと灯が灯り、十歳を過ぎたばかりの二人はあまりの美しさに興奮をおさえきれずに大騒ぎ。「うわっ綺麗かね~ヨッコちゃん!田舎で見る星のごたる」「うん星のごたる」 物静かなヨッコちゃんもかなりの興奮状態で、二人とも目をパチパチしながら港をくるくる回ってはしゃぐ。迎えに来てくれたお店の番頭さんも笑顔で二人の姿をながめていた。 これが昭和十年、四月の事である。