悲しみの再出発 二
ただただ漠然と先の事を考えてみるも何も浮かぶはずもない。
シイエは心から安堵した。こんな気持ちはどれくらいぶりだろうか…二度と大事な者を亡くしたくはなかったのだ。
そんな毎日がいくらか続いたある日、シイエ達の前に一人の男が現れた。男は二人を見るなり安堵の表情を見せた。
「やっとみつけました!ご無事で何よりです」
「シゲさん!生きていたんですね!」
その時ようやくシイエは店やヨッコちゃん達の存在を思い出す。あまりにも過酷な毎日に、もう誰もいなくなったと思い込んでいたのかもしれない。
源さんに奥様、自分達を案じて探してくれていた人達がいる。それがどんなに心強いことか…皆の安否を気にして一瞬顔が曇るシイエにシゲは続けた。
その時ようやくシイエは店やヨッコちゃん達の存在を思い出す。あまりにも過酷な毎日に、もう誰もいなくなったと思い込んでいたのかもしれない。
源さんに奥様、自分達を案じて探してくれていた人達がいる。それがどんなに心強いことか…皆の安否を気にして一瞬顔が曇るシイエにシゲは続けた。
「花幸の奥様があなたを心配しています、一緒に来てください」
「奥様はご無事ですか!元気なんですか?」
「はい、元気です、店もあります」
シイエは心から安堵した。こんな気持ちはどれくらいぶりだろうか…二度と大事な者を亡くしたくはなかったのだ。
シゲの申し出を受け、シイエは初五郎の顔へと視線を流した。初五郎はだまってうなずいている。
シイエはシゲについて行く意思を伝えると、義輝を抱えて初五郎の前に出た。
「まずは私が行って話を聞いてきますね…この子はお乳がいるから…連れていきますので政雄をお願いします」
そう伝えるとシゲと共に花幸を目指した。